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2025/10/19

初期は自覚症状なく、放置すると失明の危機「緑内障」

<日本人の失明原因のトップ>


 緑内障は目の奥にある視神経が傷むことで、視野が欠けて見えない部分ができていく病気です。症状は数十年かけてゆっくりと進行することが多く、特に初期では症状を自覚しづらいのが特徴です。40歳以上の20人に1人が緑内障と言われており、日本人の中途失明原因の第一位です。

2025/06/22

誰にでも起こり得る「白内障」とその治療

<加齢で発症、手術治療が中心>

 白内障は、眼の機能の中でカメラのレンズのような役割をしている「水晶体」が濁ってしまい、見えにくくなる病気です。かすむ、まぶしい、光に輪がかかったりにじんだりする、ものが二重や三重に見えるなどの症状が表れます。白内障の原因の多くは加齢です。

2025/02/13

失明の恐れも〜網膜静脈閉塞症〜

<突然の視野障害や視力低下>


 眼球をカメラに例えると網膜はフィルムにあたり、光や色を感じるのに重要な膜状の組織です。「網膜静脈閉塞症」は網膜の静脈の血流が詰まる(閉塞)ことで発症します。静脈の枝が詰まった場合は網膜静脈分枝閉塞症、眼球の奥にある神経や血管の出口である視神経乳頭部で静脈の根元が詰まった場合は網膜中心静脈閉塞症といい、閉塞の範囲や程度によって病状が異なります。

2024/09/19

静かに進み、失明を招く「糖尿病網膜症」

<自覚症状なく、3段階で進行>


 糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症のうちの一つで、目の網膜の血管が傷む病気です。現在、日本人の中途失明原因の第2位です。

 糖尿病では血糖値が高くなり、この高い血糖値が血管を傷めます。網膜には細い血管が張り巡らされており、高血糖が長期間持続すると網膜の血流障害が進み、さまざまな眼障害を引きおこします。

2024/04/18

網膜の病気、ものがゆがんで見える加齢黄斑変性

<放置していると失明のリスクも>


 目をカメラに例えるとフィルムに当たるのが網膜で、その中心部を「黄斑」と呼びます。この黄斑が加齢とともに病的な状態になり、ものがゆがんで見える、ぼやける、見たいところが暗くなるといった症状とともに、視力低下をきたすのが加齢黄斑変性という病気です。

2023/10/20

糸くず状のものが見える飛蚊症、網膜剥離の恐れも

<そもそも飛蚊症とは?>

 目の前にときどき、黒や白っぽい糸くず状のものや、虫のような黒い影が飛んでいるように見えることがありませんか? 白い壁や青空を見ている時などに顕著に現れますが、この症状を「飛蚊症」といいます。

2023/04/20

病状により手術が必要な「黄斑前膜・黄斑円孔」

「硝子体手術が唯一の治療法」

 眼球はカメラと同じような構造になっています。瞳孔から入った光がフィルムの役割をする網膜に当たりますが、その真ん中を黄斑部と呼び、視力に関わる重要な部分です。
 この黄斑部に膜が張る病気を「黄斑前膜」といいます。目の中にあるゼリー状の硝子体が加齢とともに液化して網膜からはがれていきますが、その一部が残って徐々に膜になっていきます。

2022/07/20

初期では自覚症状が無く、静かに進行する緑内障






大橋眼科
藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医。
●大橋眼科 北海道札幌市白石区本通6丁目北1-1
https://www.ohashi-eye.jp/




失明原因のトップ緑内障

 緑内障とは、徐々に目の奥にある視神経が傷むことで、視野が欠けて見えない部分ができていく病気です。40歳以上の20人に1人が緑内障と推定されています。症状は数十年かけてゆっくりと進行することが多く、症状を自覚しづらいのが特徴で、日本人の中途失明原因の第一位となっています。

 緑内障にはいくつか種類がありますが、基本的に眼圧が高くなることで視神経が傷みやすくなります。眼圧とは眼球というボールの張り具合で、目の中を満たす房水と呼ばれる液体によって決まります。房水は目の中で循環し、隅角という角膜(黒目)と虹彩(茶目)の間を通り、大半は線維柱帯というフィルターを通って出ていきます。この房水の流れが悪くなると眼圧が高くなるのですが、線維柱帯が徐々に目詰まりするなどして眼圧が上がる「開放隅角緑内障」や、遠視や加齢、白内障などの影響で隅角が狭くなって眼圧が上がる「閉塞隅角緑内障」などに分けられます。

 視神経がどれくらいの眼圧に耐えられるかは個人差が大きく、日本人で一番多いのは「正常眼圧緑内障」です。正常眼圧緑内障は開放隅角緑内障の一種で、眼圧が正常範囲にもかかわらず視神経の障害が進行します。 

 

眼圧を下げて視野進行を防ぐ

 

 視神経は障害を受けると二度と元に戻りませんが、眼圧を下げることで視野障害の進行を抑えることができます。

 緑内障のタイプによって治療法は異なりますが、多くの例では点眼薬が第一選択となります。まず一種類の点眼薬で治療を始めますが、眼圧が十分に下がらない、視野障害が進行するなど治療効果が不十分であれば、点眼薬を変えたり追加します。近年、何種類かの薬効を持った成分を一つの点眼薬にまとめた配合剤が登場しており、点眼回数の減少や薬剤管理が容易になるなど、患者さんにとって治療の継続、症状のコントロールがしやすくなってきています。点眼薬では治療効果が不十分であったり、副作用で点眼継続が困難な場合などにはレーザー治療や手術が検討されます。レーザー治療や手術の目的も眼圧を下げることであり、これらの治療をしても緑内障は改善しません。

 緑内障は治療をしても少しずつ進行する慢性疾患です。視機能を守っていくには、生涯にわたって通院・治療が必要であることを理解する必要があります。

 

定期的な検診で早期発見を

 

 緑内障を早期に発見し、適切な治療を受ければ、多くの場合失明にいたることはありません。最も重要なのは、自覚症状が無くても定期的に検査を行うことです。眼科での眼圧検査では正常値かどうかを確認できますが、これだけでは正常眼圧緑内障を否定できません。眼底検査などをして、必要であれば視野検査を行います。近年、眼底の神経線維の厚みを測るOCT(光干渉断層計)検査が普及し、緑内障を早期に発見できるようになってきました。定期的にOCT検査を受けることで、視神経障害の進行するスピードをつかみ、治療変更するか、様子を見ても大丈夫かを判断するデータにも活用できます。

 緑内障など視野・視力に大きなダメージを与える眼疾患の多くは、加齢と共に発症のリスクが大きく上昇します。40歳を超えたら自覚症状がなくても年に一度は眼科検診を受けることをお勧めします。

2021/12/20

白内障の治療

大橋眼科 藤谷 顕雄 副院長




大橋眼科
藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医。
●大橋眼科 北海道札幌市白石区本通6丁目北1-1
https://www.ohashi-eye.jp/




加齢で発症、水晶体が濁り視力低下

 白内障は、眼の中でカメラのレンズのような役割をしている「水晶体」が濁ってしまう病気です。主な自覚症状としては、視力が低下する、かすんで見える、まぶしくて見えづらい、近視が進行するなどがあります。白内障の原因の多くは加齢で、早い人では40歳代から始まります。年齢が上がるにつれて増加し、80歳以上ではほぼ100%が発症するとされます。他にも外傷や糖尿病、ステロイドの使用が原因になることもあります。

 治療には点眼薬もありますが、少し進行を遅らせる程度の効果しかありません。そのため、最終的には手術が必要になります。一般的な手術法は、水晶体を包んでいる袋を残し、袋の中の水晶体を超音波で細くして取り除き、代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入するものです。手術の技術向上や医療機器の進歩によって短時間で正確にできるようになり、患者さんの体への負担は少なくなっています。日帰り手術を行っている施設も多くあります。白内障手術は全国で年間140万件以上行われており、最も実施件数の多い手術です。

 

“単焦点”と“多焦点”種類ごとに一長一短

 

 挿入する眼内レンズは、大きく分けて単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあり、それぞれ一長一短があります。

 単焦点眼内レンズは〈遠く〉〈中間〉〈近く〉など、どこか一つの距離にピントが合い、そこから外れるとぼやけて見えます。ピントを合わせたい距離をあらかじめ決めて手術を行い、それ以外の距離ではメガネでピントを調節します。一方、多焦点眼内レンズは遠くと近くの2つで焦点が合います。近年は遠く、中間、近くの3カ所に焦点が合うレンズも登場しています。自由にピントを変えられるような見え方とは異なりますが、遠くにも近くにも(3焦点眼内レンズであれば中間距離も)メガネなしで焦点が合いやすくなります。手元を見るときは老眼鏡が必要な場合もありますが、頻繁に掛け外しをする煩わしさからは解放されます。ただし、多焦点眼内レンズに共通することですが、構造上、レンズに入ってくる光を複数の焦点に振り分けるため、色の鮮やかさやくっきり感など解像度は落ちます。また、夜間に街灯や車のライトがぼやけたり、まぶしく感じるハロー、グレアと呼ばれる現象が起こりやすくなります。

 見え方だけでなく、費用面でも違いがあります。単焦点眼内レンズは公的医療保険の対象ですが、多焦点眼内レンズにかかる費用は公的医療保険の対象外で自己負担となります。

 

眼科医とよく相談し、最も合うレンズを選んで

 

 細かい作業をする方や夜間に車の運転をする方などは単焦点眼内レンズの方が向いているといえます。また、メガネをなるべく掛けたくない人やスポーツなどアウトドアでの活動を好まれる方は多焦点眼内レンズの方が向いているでしょう。

 ただし、他の病気で視機能が低下している方は多焦点眼内レンズの方が見えづらく感じますし、比較的まれではありますが他の病気がなくても多焦点眼内レンズの見え方に慣れることができない方もいます。

 患者さんはそれぞれの眼内レンズの特徴をよく理解した上で、かかりつけ眼科医とじっくり相談しながら比較、検討し、ご自身のライフスタイルに最も合う眼内レンズを選ぶことが大切です。

 加齢に伴って起こりやすい目の病気は、白内障のほかにも緑内障や加齢黄斑変性などたくさんあります。40歳を過ぎたら特別な症状がなくても、定期的に眼科で検診を受けるよう心掛けてください。

2021/06/18

網膜静脈閉塞症による視力障害

大橋眼科 藤谷 顕雄 副院長


 


大橋眼科

藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医
●大橋眼科 札幌市白石区本通6丁目北1-1
https://www.ohashi-eye.jp/






網膜静脈閉塞症による視力障害

 眼球をカメラに例えると網膜はフィルムにあたり、光や色を感じるのに重要な膜状の組織です。網膜中央近くの視神経乳頭から網膜動脈が網膜全体に広がり、その中の血液が酸素や栄養を運びます。網膜を栄養した血液は網膜静脈に流れ込み、視神経乳頭から眼外へ出ます。

 網膜静脈閉塞症は網膜静脈の血流が詰まることで発症します。血液が血管からあふれ出て網膜出血となり、循環が悪くなるため網膜の浮腫(むくみ)や虚血も起きます。網膜中心部の浮腫(黄斑浮腫)が起こると、ものがゆがんで見え、視力が低下します。また、虚血が強いと眼内に新生血管が発生し、急激な視力低下の原因となる硝子体出血や、血管新生緑内障という失明につながる特殊な緑内障の原因となります。

 多くの場合、高血圧などによる動脈硬化を背景として、網膜静脈の中で血流が滞って血栓ができることが原因とされます。無症状の方を含めると40歳以上の2%程度に見られ、決して珍しい病気ではありません。枝分かれした周辺の静脈が詰まると「網膜静脈分枝閉塞症」、視神経乳頭部で静脈の根元が詰まると「網膜中心静脈閉塞症」といい、詰まった範囲や程度によって病状が異なります。



眼内注射で黄斑浮腫を抑えるのが最優先

 

 視機能に直結する黄斑浮腫を改善することが最優先となります。黄斑浮腫に対して最も効果的なのは、抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体という薬の眼内注射です。循環が悪くなった虚血網膜からVEGFという物質が出て黄斑浮腫の原因となりますが、抗VEGF抗体はその働きを抑えます。治療効果に優れ比較的短期間で浮腫は改善しますが、効果が不十分な場合もあります。また、注射の効果は2~3か月で消失するため再発もめずらしくありません。複数回投与も可能ですが、高価な薬剤であること、注射の際に少なからずリスクがあることも課題です。

 広範囲で血流が詰まった場合、硝子体出血や血管新生緑内障を予防するためにレーザー治療で虚血網膜を焼きます。他にも、ステロイド剤の眼局所への注射や、状況によっては硝子体手術を行うこともあります。

 

定期的な自己チェックと眼科検診を

 

 黄斑浮腫がおさまると視機能の改善が期待できますが、網膜の障害が強いと改善は難しくなります。ゆがみや視力低下などの異常を感じたら放置せず、すぐに眼科を受診してください。普段は両眼でものを見ることが多いため、片眼ずつで見え方を確認すると病気の発症、悪化に早く気付けます。また、合併症は数年経ってから出ることもあり、自覚症状が落ち着いていても定期検査が必要です。

 加齢による目の病気は様々ですが、早期発見・治療が大切です。40歳を過ぎたら特別な症状が無くても定期的な眼科受診をお勧めします。

2020/11/20

中途失明の原因の第2位、糖尿病網膜症

大橋眼科 藤谷 顕雄 副院長




大橋眼科
藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医士
●大橋眼科 札幌市白石区本通6丁目北1-1

https://www.ohashi-eye.jp/





中途失明の原因の第2位、糖尿病網膜症

 糖尿病網膜症は腎症、神経障害と並ぶ糖尿病の3大合併症のうちの一つで、目の網膜の血管が傷む病気です。2019年現在、日本人の中途失明原因の2位を占めます。厚労省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人の患者は16年時点で約1000万人と推計されています。

 

自覚症状がほとんどなく、3段階で進行

 

 糖尿病は、高血糖が続く病気です。そして、この高い血糖値が血管を傷めます。網膜には細い血管が張り巡らされており、高血糖が長期間持続すると網膜の血流障害が進み、さまざまな眼障害を引きおこします。糖尿病網膜症は大きく3つの段階に分けられます。

 「単純網膜症」といわれる初期では、網膜の血管が傷んで細い血管にこぶができたり、弱くなった血管壁から血液や血漿(けっしょう)成分が漏れたりしますが、この段階では血糖値管理を徹底すれば良くなる可能性があります。

 次の「前増殖網膜症」になると血管が閉塞し、白い綿のようにみえる軟性白斑が網膜にできることもあります。さらに進んで最終段階の「増殖網膜症」になると、網膜に弱くて出血しやすい新生血管ができて、硝子体出血や網膜剥離を起こしやすい状態となり、放置すれば失明のリスクも高くなります。

 この病気が厄介なのは、前増殖網膜症まで進行してもなかなか自覚症状が表れないところです。見えにくい、と目に異常を感じた時にはすでに増殖網膜症に進行してしまっている可能性が高く、治療しても完全に視力を取り戻すのが難しいケースも少なくありません。

 

第2段階以降の治療法

 

 前増殖・増殖糖尿病網膜症においては、血管の血漿成分が漏れ出てくる部位や、血管が閉塞して血液が通わずに酸素や栄養が供給されていない部位などに、レーザー光線を照射し網膜を焼く「網膜光凝固術」が多くの場合必要となります。この治療を行うと、網膜全体の栄養状態が改善し、新生血管の発生を抑え、病気の進行を抑えることができます。網膜光凝固術は外来で点眼麻酔をして行います。10分程度で治療は行えますが、複数回行う必要があります。

 新生血管から出血したり、網膜剥離を起こしたりしている場合は「硝子体手術」を行います。

 

黄斑部に糖尿病網膜症が起こると…

 

 糖尿病網膜症には、網膜の中心である黄斑に浮腫を合併するケース(糖尿病黄斑浮腫)もあります。初期から末期まであらゆる時期に起こる可能性がり、この場合は病状がそれほど進んでいなくても視力が落ちることがあります。

 糖尿病黄斑浮腫に対する治療としては近年、「抗VEGF薬」が保険診療として認められました。眼球に直接抗VEGF薬を投与するもので、患者さんの体への負担が少なく、黄斑浮腫を軽減し、ある程度視力を改善できるようになりました。 ただ、複数回の治療を要すことやまれではあるものの感染の危険性があること、保険適用であっても自己負担が比較的高額な治療であることに留意する必要があります。黄斑浮腫の治療には、ほかにステロイド剤投与、レーザー治療、硝子体手術も検討されます。

 

糖尿病と診断されたら、眼科の受診も

 

 まずは糖尿病にならないようにすることが大事ですが、健診などでもし糖尿病と診断されたら、ぜひ、眼科も受診するようにお願いします。糖尿病網膜症が原因の失明を防ぐとともに、可能な限り視力回復・改善を目指すには、早期発見・治療が原則。そのためにも、糖尿病と診断された時から定期的な眼底検査などのチェックが何よりも重要です。

2020/05/21

網膜の病気、加齢黄斑変性

大橋眼科 藤谷 顕雄 副院長



大橋眼科

藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医
●大橋眼科 札幌市白石区本通6丁目北1-1
https://www.ohashi-eye.jp/





網膜の病気、加齢黄斑変性

 目をカメラに例えると、目の中にはカメラのフィルムに相当する網膜という薄い膜状の組織があり、そこで受けた映像の情報が脳へ伝えられます。この網膜の中心部を「黄斑」と呼びます。黄斑はものを見る中心となる部分であり、視力は黄斑の状態に大きく左右されます。この黄斑が加齢とともに病的な状態になり、ものがゆがんで見える、ぼやけて見える、見たいところが暗くなるといった症状とともに、視力低下をきたすのが加齢黄斑変性という病気です。原因は完全には解明されていませんが、老化現象が主因と考えられており、そのほか、喫煙、遺伝、紫外線なども病気に関与することが分かっています。

 日本では成人の中途失明原因で緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症に次ぐ第4位の疾患です。近年増加傾向にあり、患者数は70万人超にのぼり、50歳以上の人では約60〜100人に1人にみられると推定されています。

 

 

「滲出型」と「萎縮型」

 

 加齢黄斑変性には「滲出型」と「萎縮型」の2つのタイプがあります。滲出型は、網膜の外側にある「脈絡膜」に異常な血管(新生血管)が発生して網膜側に伸びてくるタイプです。新生血管は非常にもろいため、血液や水分が滲出して黄斑が機能障害を起こし、発症します。日本人の加齢黄斑変性の多くがこのタイプです。

一方、萎縮型は加齢とともに黄斑の組織が徐々に萎縮していくタイプで、日本人に少なく欧米人の発症が多いです。進行は緩やかですが、有効な治療法はまだ確立されていません。

 

 

光線力学療法と抗VEGF療法

 

 病気の進行度や重症度、病型によって治療法はいくつかあります。

 近年、治療の主流になっているのが「抗VEGF療法」という、新生血管の増殖や成長を抑える薬を、眼球の硝子体内に注射する方法です。導入期では、月1回の注射を3カ月間繰り返します。その後の維持期は、定期的に検査を行い、必要に応じて注射をします。

 他にも「光線力学療法(PDT)」があります。新生血管に集まる特殊な薬剤を注射し、そこに専用のレーザー光線を当てることにより、新生血管を閉塞させる方法です。単独治療での治療成績は、抗VEGF療法に劣りますが、病態に応じて抗VEGF療法に併用することがあります。

 

 

セルフチェックと定期的な検診を

 

 加齢黄斑変性は早期発見、早期治療が何より大事です。早期に発見し、適切な時期に治療を受けないと、進行してからでは視力の回復・改善が難しくなります。片方の目に見づらい、見えない部分があっても、両目で見ているともう片方の目でカバーしてしまうため、見えない部分がかなり広がるまで症状に気付かないことも多いです。

 ものがゆがんで見えていないかをセルフチェックするときに使われるのが「アムスラーチャート」と呼ばれる格子状の表です。カレンダーや将棋盤など格子状のものでも代用できます。片目ずつで見て、中心がゆがんで見えたり、線がぼやけて薄暗いところがあったり、部分的に欠けて見えたりしたら、すぐに眼科を受診してください。また、視覚障害の有病率が50歳代で増加することを考えれば、40歳を過ぎたら自覚症状がなくても定期的に眼科で検診を受けることをお勧めします。

2019/12/19

飛蚊症・網膜裂孔・網膜剥離

大橋眼科 藤谷 顕雄 副院長


大橋眼科
藤谷 顕雄 副院長
●2005年北海道大学医学部卒業。岩見沢市立総合病院、時計台記念病院、手稲渓仁会病院、北海道大学病院などを経て、2019年4月より現職。日本眼科学会認定眼科専門医。
●
大橋眼科 札幌市白石区本通6丁目北1-1




飛蚊症(ひぶんしょう)について教えてください

 視界の中で、黒や白っぽい糸くず状のものや、虫のような黒い影が飛んでいるように見えた経験は誰にでもあると思います。例えば、白い壁や青空を見ている時などに顕著に現れますが、この症状を「飛蚊症」といいます。

 眼球の中には硝子体(しょうしたい)というゼリー状の物質が詰まっています。硝子体に何らかの原因で濁りが生じ、濁りの影が網膜に映るために起こるのが飛蚊症です。大抵の場合、加齢による生理現象なので、心配する必要はありません。しかし、視界の妨げになるほど影が増えたり、大きくなったりした時は「網膜裂孔」や「硝子体出血」の可能性もあり、「裂孔原性網膜剥離」につながるおそれもあるので、すぐに眼科を受診してください。

 

網膜裂孔(もうまくれっこう)とはどのような病気ですか


 網膜はカメラでいうとフィルム部分にあたる膜で、ここに映った画像が視神経を経由して脳へ伝わります。この網膜を内側から支えているのが硝子体です。

 硝子体が収縮して網膜から剥がれることを後部硝子体剥離といい、加齢による変化で誰にでも起こります。50歳前後で生じることが多いです。それ自体は生理的変化で問題はないのですが、ゼリー状の硝子体と網膜の癒着が強い部分や網膜が薄い部分があると、後部硝子体剥離が起こる時にその部分が引っ張られて網膜に亀裂ができたり穴があいたりすることがあります。これが網膜裂孔です。

 網膜裂孔の時点で発見できれば、レーザーによる治療で裂孔を囲み悪化を防ぐことができます。入院の必要もなく、外来治療によって短時間で行うことが可能です。しかし、網膜裂孔を放置しておくと、亀裂から液状になった硝子体液が網膜の後ろに入り込み、網膜が剥がれ網膜剥離に進行してしまうことがあります。

 

網膜剥離(もうまくはくり)とはどのような病気ですか


 網膜剥離が生じると、剥離部分に対応する視野が見えにくくなり、網膜の中央部分である黄斑まで剥がれると著しく視力が低下します。放置しておくと、最悪失明する可能性もあります。網膜剥離は、加齢や糖尿病網膜症などの一部の病気、事故などによる頭部や眼球への物理的衝撃が原因で引き起こされます。

 網膜剥離は痛みを伴わないまま進行し、初期には無症状の場合も多く、とても気付きにくい病気です。網膜は一度機能を失うと治療をしても再生しません。視力や視野の機能回復については、剥離の程度によりますから、とにかく早期に発見し、治療をスタートすることが大切です。網膜裂孔や網膜剥離になりやすい人として、強度近視の人、過去に眼球をぶつけるなどの外傷があった人、家族が同疾患を経験した人などが挙げられます。また、20代後半と60代前後に発症することが多いので、該当する年代の人は注意が必要です。

 

網膜剥離の治療について教えてください



 網膜剥離まで進行している場合は手術が必要になります。手術は眼球の外からシリコン製のバンドなどの当て物をして網膜の穴をふさぐ「強膜バックリング法」と、眼球内部に手術器具を挿入し、硝子体を切除し、剥がれた網膜を元の位置に固定する「硝子体手術」に大別できます。どちらを選ぶかは病状(網膜剥離のタイプ、裂孔の大きさや位置など)によります。最近は硝子体手術の適応が拡大しておりますが、若い人には強膜バックリング法を取ることが多いです。

 繰り返しになりますが、網膜剥離は治療が早ければ早いほど視機能への影響が少ないので、早期発見と速やかな治療が何よりも大切です。飛蚊症の他、眼の中に光が見える(光視症)、見ているものの一部が見えない(視野欠損)、見たいものがはっきり見えない(急激な視力低下)などの症状に気付いたら、すぐに眼科を受診してください。

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