ラベル 肛門科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 肛門科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/04/17

感染者急増の[梅毒]、早期検査・治療が重要

<感染気付かず病気進行も>


 性感染症の一つ、梅毒の患者さんが近年急増しています。症状として肛門や性器にしこりができることがあるので、肛門科・外科である当院の検査・診察で梅毒が見つかるケースも珍しくないです。また、症状がなくても、別のおしりの病気で検査をしたところ思いがけず梅毒が見つかるケースもあります。特に若い世代の感染の増加が目立ちます。

2024/12/19

便秘などの排便障害、我慢・放置せずに受診を

<便秘、新薬で治療に幅>


 排便障害には便秘や下痢、便失禁などがありますが、その症状・程度・原因に応じて適切に治療することが必要です。

 例えば一言で便秘といっても、便が出ない「排便回数減少型」や便が出せない「排便困難型」では対処方法が異なります。

 「排便回数減少型」では、そもそも良好な便ができるような食事をしていない、生活習慣や加齢によって腸の動きが弱い、など原因によって対処方法や使用すべき薬剤も異なってきます。

2024/07/23

大腸がんから命を守る、便潜血検査の重要性

 <早期発見・治療で治せるがん>


 大腸がんは、部位別に見ると日本で最も多くの人がかかるがんです。2019年には約15万人が新たに診断され、年間5万人以上が亡くなっています。

 早期の大腸がんは症状として現れないことがほとんどです。血便や下血、便通異常(便秘、下痢、便が細い)貧血、腹痛、体重減少などの自覚症状が出た時にはすでに進行がんになっていることが多く、これが大腸がんの怖いところです。

2023/08/20

諦めないで「便失禁」多様な治療の選択肢


<高齢者の約1割が悩む便失禁>

 排便の抑制がきかず、無意識のうちに、または、意思に反して便が排せつされることが度々起こる状態を「便失禁」といいます。知らず知らずのうちに下着を汚してしまうような便失禁や、排便を我慢しようと意識しているにもかかわらず、トイレに間に合わず漏らしてしまう便失禁があります。患者さんは高齢者に多く、日本では65歳以上の男性の8・7%、女性の6・6%が該当するという調査結果があり、高齢者全体の約1割に及びます。

2023/03/19

「温水洗浄便座」おしりの洗い過ぎに注意

「使い方で、便漏れや皮膚炎も」

 ノズルから噴射される水でおしりをきれいにする「温水洗浄便座」。快適で気持ちがいいため、毎日習慣で利用している人も多いと思いますが、不適切な使い方を続けると、便漏れや肛門周辺のかゆみや痛みといったトラブルが起きることもあり、注意が必要です。

2022/08/19

痔は成人日本人の3人に一人がかかっている病気


 



札幌いしやま病院
小山 良太医師
●2010年札幌医科大学医学部卒業。北海道がんセンター、北海道大学消化器外科Iなどを経て、2021年8月より現職。日本外科学会認定外科専門医・医学博士。
●札幌いしやま病院 札幌市 中央区 南15条 西10丁目 4-1
http://ishiyama.or.jp




肛門疾患で最も多い「痔核」

 肛門科の患者さんは、肛門付近の痛みや出血、かゆみなどの症状を訴えて受診します。ほとんどが痔核(いぼ痔)と裂肛(切れ痔)、痔ろうで占められ、中でも患者さんが最も多いのが痔核です。

 肛門周辺の粘膜の下には、血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分(肛門クッション)があり、ちょうど水道の蛇口に付いているゴム栓のような役割を果たしています。排便時や重い物を持った時に強くいきんだり、運転時など長時間座ったままの姿勢でいたりするなど、肛門に負担がかかることが度重なると、徐々に肛門クッションが腫れて、本来あるべき位置からずれ落ちた状態になります。これが痔核です。 

 肛門の穴から約2センチ奥には、肛門上皮と直腸粘膜の境目となる「歯状(しじょう)線」があり、歯状線より上の部分にできたものを「内痔核」、下の肛門上皮にできたものを「外痔核」と呼びます。内痔核は排便時などに出血しますが、痛みはほとんどありません。ただ、大きくなると垂れ下がり、肛門の外に出てしまう「脱肛」を起こし痛みを感じることがあります。外痔核は痛みに敏感な部位に存在し、特に強いいきみなど肛門に急激に負担がかかった時に血栓(“血豆”)を形成し、痛みを伴って腫れることがあります。

 

注射と切除、併用療法も

 

 痔核の治療法は症状に応じてさまざまです。外痔核は塗り薬や飲み薬で症状を抑え、排便・生活習慣の見直すことで改善が見込めるケースがほとんどです。特に痛みが強い場合は簡単な手術を行うこともあります。一方、内痔核は重症化すると脱肛しやすくなり、保存療法では完治しません。切らずに治す注射療法(ALTA注射療法)や外科手術(当院では肛門形成術)などが検討されます。

 ALTA注射療法は、内痔核に直接、薬を注射して痔核を縮小させる方法で、メスを入れないため治療後の痛み、出血が少なく、有用な方法です。肛門形成術は、ずれ落ちた肛門クッションを括約筋から剥離し、本来の位置に戻して括約筋に固定するという方法です。痔核を切除する一般的な術式と比較して、術後の痛みや出血が少なく、入院期間を短縮できるというメリットがあります。また、狭窄などの長期合併症はほとんどなく、肛門本来の機能を温存するという観点からも非常に有効な術式です。病状によっては、ALTA注射療法と肛門形成術を組み合わせる併用療法を行い、良好な成績を得ています。どの方法がベストかは、脱出の有無、程度、脱出時の形態などを考慮し総合的に判断します。

 

排便時に異変、早期受診を

 

 痔の一番の予防法は、トイレにいる時間を短くすること。いきみすぎず、長く踏ん張らないことが大事です。また、便秘や下痢、長時間の座位、体の冷え、大量飲酒、疲労、ストレス、過度の香辛料を避けるなど、おしりに負担をかけない生活習慣を心掛けてください。

 性別や年齢を問わず、痔で悩む人は多いです。気恥ずかしさから、しっかりと処置をしない傾向がありますが、長く放置するほど不快さや痛みは増し、手術の必要性も高まります。また、おしりからの出血が痔によるものだと思い、放置していたら大腸がんであったケースも少なくありません。大切なのは、自分で判断しないこと。おかしいなと思ったら、迷わず肛門科を受診しましょう。

2021/10/20

肛門のはたらき

札幌いしやま病院札幌いしやまクリニック 石山 元太郎 理事長


医療法人 藻友会
札幌いしやま病院札幌いしやまクリニック
石山 元太郎 理事長
●日本外科学会認定外科専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。
●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1
http://ishiyama.or.jp/




精密で複雑な肛門の機能、排便支える二重の括約筋

 普段の生活では「肛門」のありがたみを実感する機会はほとんどないと思いますが、肛門は精密機械顔負けの高度で複雑な機能を備えた大事な臓器です。

 口から入った食物は、消化管を通り、最後には肛門から便として排出されます。もう少し詳しく説明すると、胃で消化された食物の栄養素と水分は小腸・大腸で吸収され、残ったものが便となり、S字結腸に溜められます。溜まった便は、食事の刺激で起こる腸の蠕動運動によって、肛門手前の直腸に押し出され、それが神経・脳へと伝達され、便意を感じて排便します。ここに、肛門の素晴らしい機能があります。それは「直腸に溜まった便を無意識にせき止めておき、好きな時に排出できること」です。もし、直腸に少しでも便が押し出されるたび、肛門に力を入れ続け、便が漏れるのを防がなければならないとしたら、トイレに間に合わなかったり寝ている間に便が漏れたり、安心して生活できなくなるでしょう。

 便を保持・排出するため、肛門を締めたりゆるめたりする筋肉が「括約筋」です。括約筋は二重構造になっていて、一つは自分の意思とは関係なく動く内肛門括約筋で、もう一つは自分の意思で動かせる外肛門括約筋です。直腸に十分な量の便が押し出されると、内肛門括約筋が自然にゆるんで排便の準備をします。この時、意識的に外肛門括約筋をゆるめることで、私たちは排便できています。反対に、意識的に締めることで、排便してはいけない状況で便を漏らさないよう我慢できるのです。

 

便漏れ防ぐ肛門クッション、便とガス見分けるセンサーも

 

 普段の生活で便やガス(おなら)が漏れ出てしまわないのは、肛門の出口から数センチのところにある「肛門クッション」のおかげもあります。網目状に広がった血管があり、軟らかく弾力性のある肛門クッションは、肛門から液体や気体が漏れ出ないよう水道の蛇口のゴム栓のような役割を果たしています。

 また、肛門にはサンプリング機能と呼ばれる働きがあり、直腸から降りてきたものが、「個体」か「液体」か「気体」か、を瞬時に判別することができます。そして、ガスの時のみ排出したり、便とガスとが同時に降りてきた時は、便を残したままガスだけを出したり、まさに精密機械のような繊細で高度な選別がおこなわれています。便とガスを識別できないと、おならがしたくなった時も必ずトイレに行って便座に座らなくてはならないなど、生活はとても不便になるでしょう。

 

生活の質を保つために、肛門を意識した生活を

 

 排便は毎日の生活で当たり前に行われる行為ですが、そこに不便を感じると生活の質は著しく低下します。正しい排便習慣を身に付け、肛門をいたわる生活を心掛けるとともに、排便時に違和感や異変があれば、迷わず大腸肛門病医を受診してほしいと思います。

2021/04/20

便秘や快便にまつわる「思い込み」

札幌いしやま病院 河野 由紀子 医局長 




札幌いしやま病院

河野 由紀子 医局長
●2005年札幌医科大学医学部医学科卒業。日本外科学会認定外科専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。医学博士
●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1

http://ishiyama.or.jp/




誤解していませんか?便秘や快便にまつわる「思い込み」

 新型コロナウイルスの感染予防で、外出を控えたりリモートワークになったりで、運動不足で便秘がちという悩みを聞きます。また、座りっぱなしの時間が長くなることで、肛門周囲に負担がかかってうっ血(血液の流れが滞ること)が起こり、おしりの不調を訴える声もよく聞きます。日々、患者さんからおしりやおなかのトラブルについて、いろいろなご質問を受けていますが、患者さんが良かれと思ってやっている習慣が裏目に出ていることが少なくありません。

 便秘や下痢のとき、便が出るまで長時間いきみ続けたり、便意がないのにトイレに長居したりする人が多いですが、これは肛門に負担をかける悪習慣です。肛門周囲のうっ血の原因となり、痔の引き金になります。5分座っても、それ以上便が出なければ、一度トイレを出ましょう。再び便意をもよおしたとき、トイレに戻ればいいのです。1回の排便で全部を出し切る必要はありません。トイレに5分以上座ることをやめるだけで、痔の予防や症状の軽快につながります。

 便秘に悩む人の中には「毎日排便しないといけない」と思い込んでいる人もいますが、それは誤解です。

 3日に1回程度の排便でも不快な症状がなく、すっきりとバナナ状の便が出ているのであれば問題はありません。毎日便が出ないというだけで自分が便秘と思い込み、便秘薬を常用し、下痢を起こしている患者さんもよく見受けられますので、十分ご注意ください。

 便秘の解消やおなかの張りを軽減するために、食事回数を減らす人がいますが、これも逆効果です。便通を整えるには、便の量を増やすことが大切。便は食事からつくられるので、食物繊維が豊富な食事をしっかり取るのが正解です。

 

 
市販薬の長期服用は注意が必要

 

 市販の便秘薬を服用している人も多いと思いますが、薬の選び方や使い方を間違えると、場合によっては、便秘を解消するどころか悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。特に避けたいのは、大腸を刺激する作用を持つ便秘薬の長期服用です。繰り返し使うと耐性が起こって、薬を飲んでも効果が得にくくなってきますし、自力で排泄する力も弱まってきます。

 パッケージに「漢方薬」「生薬由来」「植物性」などと書いてあると体にやさしそうですが、そういった便秘薬の中にもダイオウやアロエなど大腸刺激性の成分を含んだものもあります。市販薬は一時的に使うものと考えた方が良いでしょう。数週間薬が手放せないようなときは、専門の医療機関にかかることをお勧めします。

 

 
意外と知られていない温水洗浄便座の正しい使い方

 

 シャワートイレ(温水洗浄便座)の間違った使い方が、肛門周囲のかゆみ、皮膚炎、真菌などの感染症など、おしりのトラブルを招いているケースも非常に多いです。そのほとんどは「洗い過ぎ」によって、皮膚を守るバリア機能を担っている皮脂や常在菌を洗い流してしまっていることが原因です。また、水圧の刺激を排便を促す目的で使っている人もいますが、習慣化すると便意を感じる力が弱まり、水圧がないと排便ができない、便を出せない、となってしまいます。

 シャワートイレは、①水圧は一番弱くする、②水流を肛門(の中)に直接当てない(入れない)、③洗浄は10秒以内にする、というのが正しい使い方です。肛門のまわりはとてもデリケートな部位。慣れるまでは物足りなさを感じるかもしれませんが、これでも十分に肛門周囲の清潔を保つことができます。正しく、上手に使って、おしりのトラブルを防止してください。

2020/10/19

おしりや肛門付近の[痛み]は“痔のサイン”



藻友会 札幌いしやま病院

札幌いしやまクリニック

川村 麻衣子 医局長
●札幌医科大学医学部卒業。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。医学博士
●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1
http://ishiyama.or.jp/





おしりや肛門付近の[痛み]は“痔のサイン”

 「排便時に痛みがある」「肛門が腫れて痛みを伴う」など、おしり、特に肛門周辺に痛みを感じた場合、さまざまなおしりのトラブルが考えられますが、最も頻度が高いのは「痔」です。

 痔は肛門周囲の病気の総称です。なかでも「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔瘻」は、痔の患者さんの約8割を占める3大疾患です。男女を問わず圧倒的に多いのが痔核です。女性の場合、2番目に多いのが裂肛で、男性に多くみられるのが痔瘻です。

 

裂肛の主な原因は便秘

 

 排便前後におしりが痛くなったり、排便時に紙に少量の血がついたりという症状がある人は、裂肛の可能性があります。裂肛は、便の出口である肛門上皮にできた傷のことで、その原因で最も多いのは便秘です。硬い便を無理やり出そうとして強くいきんだ時に切れてしまうのです。裂肛になると、便意があってもまた痛い思いをするのが嫌で、つい排便を我慢してしまいがちになり、その結果ますます便秘になり、裂肛を悪化させるという悪循環に陥ります。慢性化すると、裂肛の傷が深くなる「肛門潰瘍」や肛門が狭くなる「肛門狭窄」を引き起こすなど、簡単には治らなくなるので注意が必要です。

 

激しく痛む血栓性外痔核と嵌頓(かんとん)痔核

 

 肛門の内側にできる内痔核では痛みを感じませんが、肛門の外側にできる外痔核には痛みを感じます。特に、肛門部の血行が悪くなり、突然肛門周囲に硬いしこり(血栓)ができることがあり、これを「血栓性外痔核」といいます。急に腫れて激しく痛み、時には皮膚が破れて出血することもあります。 また、肛門の外に飛び出した痔核内に血栓がたくさんできて腫れる「嵌頓痔核」という状態になる人もいます。こちらも突然の激しい痛みが特徴です。

 

おしりに膿(うみ)のトンネルができる痔瘻

 

 痔瘻は、おしりに膿のトンネルができて化膿を繰り返す病気です。手術でトンネルを取らない限り、何度も細菌感染を起こして痛みや腫れを繰り返します。

 痔瘻の前段階の「肛門周囲膿瘍(のうよう)」という状態でも肛門周囲が腫れて激しく痛み、発熱することもあります。

 

自己判断は禁物,我慢せず早めに受診を

 

 そのほか、おしりの痛みの原因としては、お風呂や温水洗浄便座での洗いすぎで炎症を起こし、それが引き金となって痛みや痒みが出るケースや、魚や鶏の骨などを誤飲し、それらの異物が腸や肛門などに刺さって化膿しているといった珍しい症例もあります。また、痛みや出血の背後に、直腸がんや肛門がんなど命にかかわるような怖い病気が隠れていることも考えられます。

 「多分、軽い痔だから大丈夫」などの自己判断は禁物です。たとえ痔であっても自然治癒しないケースも多いですし、市販の薬が効かなかったり合わなかったりする症例も少なくありません。おしりが痛い、おしりの調子が悪いと感じた時は、決してがまんせずに、気軽に肛門外科を受診し、早めに対処してほしいと思います。おしりの病気は、決して特別なことでも恥ずかしいことでもありませんが、女性医師による女性患者さんのみの診療日を設定している医療機関もありますので、調べてみるといいでしょう。

2019/10/18

痔とはどのような病気ですか?

    札幌いしやまクリニック  石山 元太郎 理事長
    医療法人 藻友会
    札幌いしやま病院札幌いしやまクリニック
    石山 元太郎 理事長
    ●日本外科学会認定外科専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。
    ●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
    ●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1





    痔とはどのような病気ですか?

     痔とは、肛門やその周辺に起こる病気の総称です。日本人の3人に1人は痔であるといわれています。痔は、「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう」の3つに大きく分かれ、外来患者の約8割を占めます。このうち、最も多いのが痔核です。

     

    痔核の症状と治療法について教えてください

     イボができる場所により、肛門の皮膚部分にできる「外痔核」と肛門の内側の粘膜にできる「内痔核」に分類されますが、最も頻度が高いのは内痔核です。

     肛門は、便やガスが無意識に漏れないように括約筋という筋肉で閉じられていますが、これだけでは不十分なため、肛門の出口から数センチのところに「クッション」と呼ばれる、水道の蛇口のゴム栓のような役割を担う部位があります。排便時のいきみなどでクッションが腫れ、本来あるべき位置からずれ落ちた状態が内痔核です。さらに、このクッションが肛門の外まで出てくる状態を「脱肛」といいます。

     内痔核の多くは、排便の回数や状態を整えたり、塗り薬や座薬で症状を抑えたりする保存治療で改善しますが、出血や脱肛の程度によっては外科的治療が必要になります。

     

    内痔核に対する外科的治療について教えてください

     かつては、内痔核ごと肛門粘膜部をすべて切除し、残った直腸側と皮膚を縫う手術が主流でしたが、術後の出血や痛み、肛門狭窄などのリスクがあり、術後に肛門の機能が損なわれるケースも少なくありませんでした。現在、専門病院の多くでは肛門機能の温存を重視した治療が行われています。

     現在の外科的療法では、近くに流入している動脈を結紮(けっさつ・縛ること)し、痔核を切除する結紮切除術が一般的となっていますが、より肛門の機能を重視した手術に「ACL法」があります。これは、ずれ落ちたクッションを本来あるべき位置に戻し、括約筋に固定する手術法です。クッションは元来必要なものですから、切り取るのではなく、「元の状態に戻す」というのがACL法の考え方です。術後の痛みを軽減でき、大量出血の可能性も少なく、入院期間の短縮が見込めます。

     「MuRAL法」も肛門機能を損なわない新しい手術として注目されています。これは、ずれ落ちたクッションを本来あるべき位置に戻した上で、痔核の原因となっている粘膜や血管を糸で縛って肛門の奥に引き込む術式です。ただ、まだ国内での症例数が少ないため、今後の治療成績の蓄積が期待されます。

     薬剤を内痔核に直接注射して痔核を縮小させる「ALTA(ジオン)注射療法」という治療もあります。メスを入れないため治療後の痛みが少なく、入院期間も短くて済みますが、すべての痔核に効果があるわけではなく、この治療に適しているかどうかを厳密に選択しなければ再発しやすいという特徴もあります。

     

    どんな治療を選ぶといいですか


     肛門が狭くなるなどのリスクをいかにゼロに近づけて、術後のQOL(生活の質)を保つか。大前提として、可能な限り肛門機能を温存できる治療法を選ぶことが大切です。

     治療の選択は、患者さんの年齢や肛門の状態、希望・要望、ライフスタイルなどを考慮して総合的に決定します。患者さん一人ひとりの病状と訴えに対し、最も適した治療を選ぶことが何よりも重要になります。

     病院によってできる治療法は違います。どんな病気に対してもそうですが、治療の選択肢が一つでも多いに越したことはありません。複数の治療法を手掛け、治療・術式の症例数のバランスが取れている病院を選ぶことも大切です。

    人気の投稿

    このブログを検索