2024/07/23

大腸がんから命を守る、便潜血検査の重要性

 <早期発見・治療で治せるがん>


 大腸がんは、部位別に見ると日本で最も多くの人がかかるがんです。2019年には約15万人が新たに診断され、年間5万人以上が亡くなっています。

 早期の大腸がんは症状として現れないことがほとんどです。血便や下血、便通異常(便秘、下痢、便が細い)貧血、腹痛、体重減少などの自覚症状が出た時にはすでに進行がんになっていることが多く、これが大腸がんの怖いところです。

 大腸がんは進行が比較的ゆっくりであり、早期に発見して適切に治療できれば根治が期待できます。診断から5年後に生存している割合を示す「5年生存率」は、早期の大腸がんであれば90%以上です。つまり、いかに早く病気の存在に気づくかが大切になってきます。

 大腸がんをいち早く発見するには大腸がん検診が非常に重要です。大腸がんにかかる危険性が高まる40歳以降は毎年の健康診断の一つとして受けることをお勧めします。


<大腸がん予防は、まず検診から>


 大腸がん検診は通常、一次検診(スクリーニング検査)で便に含まれる血液を調べる「便潜血検査」が行われます。とても簡単な検査で、専用容器のキャップについた採便スティックで便の表面をこすって少量の便を採取します。これを1日1回で2日間行い、それぞれを提出します。便潜血検査は、大腸がん死亡率の減少効果が科学的に確認されている検査です。便潜血検査が陽性となった場合は、本当にがんがあるかどうか、大腸内視鏡検査などによる二次検診(精密検査)を行います。

 便潜血が陽性になるのは検査を受けた人の約5〜10%で、二次検診で大腸がんが見つかるのは約0·1〜0·2%とされています。つまり、1,000人が便潜血検査を受けると、100人弱が陽性となり、実際に大腸がんが見つかるのは1〜2人です。つまり、便潜血検査で陽性と判断されても、大腸がんだとは限りません。出血の原因の多くは痔であり、他にポリープや憩室、腸炎が原因となる場合もあります。大切なことは精密検査で「本当のこと」を知ることで、「前に大腸カメラ受けたけれど、異常がなかったので今回も大丈夫だろう」という自己判断は禁物です。精密検査を受けずに発見が遅れたため、外科手術や化学療法が必要となるケースもあります。

 一方で、大腸がんが潜んでいる場合でも、血液が検出できず便潜血検査が陰性になることがあります。「健康だから」と思っていても年に1回は大腸がん検診の便潜血検査を忘れずに受けることが大切です。そして、便潜血検査が陽性であれば、必ず精密検査を受けましょう。



医療法人 藻友会

札幌いしやま病院
札幌いしやまクリニック
及能 拓朗 医師
●日本外科学会認定外科専門医。日本消化器外科学会認定消化器外科専門医


●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1
http://ishiyama.or.jp/

人気の投稿

このブログを検索