<プライマリ・ケアとは?>
プライマリ・ケアの定義や意味合いは幅広く、用いられる場面や状況によって若干ニュアンスが異なる場合がありますが、「健康問題に関する相談を何でも受け、病気を診るだけでなく予防や健康増進にも対応し、必要であれば各診療科の専門医や介護・福祉サービスなどにつなぐ、いわば【医療や介護・福祉の窓口】というべき診療、医療サービス」のことをいいます。
もっと簡単にいえば、普段から何でも診てくれ、相談にのってくれる身近な医師による医療です。患者さんの生活やご家族の背景なども把握しながら、5年、10年と患者さんに寄り添い健康を管理します。病人だけでなく健康な人も、小児から高齢者まで、また患者さんとご家族だけでなく患者さんの周囲の皆さんのことも気にかけながら、地域の中で継続的に診ていく医師をプライマリ・ケア医と呼びます。プライマリ・ケア医は、医療だけでなく、訪問看護など外部の専門家とも密接に連携して在宅で療養できるよう問題を解決する場面も少なくありません。例えば、症状を診るだけでなく、飲酒・喫煙の頻度や量、職場の悩みや家族構成、普段の食事など、雑談にも似た幅広い質問、会話をする中で、心身の不調の原因を探ったり、病気予防のアドバイスをしたり、日常の不安や心配事を解決したりします。
<プライマリ・ケア医高まる必要性>
プライマリ・ケアを専門とする医師=プライマリ・ケア医は、各専門診療科別の専門医と区別して総合医(ジェネラリスト)とも呼ばれます。家庭医療、家庭医、総合内科、総合診療医、かかりつけ医などがこの範疇に入ります。プライマリ・ケア医は、分野をまたぐ多くの知識や技能、各分野の専門医・専門家と連携できる優れた問題解決能力が求められます。守備範囲の広さは、決して簡単に身に付くものではありません。
高齢化の進展に伴い、複数の慢性疾患を抱えて暮らす方が増えました。健康上の問題も多様化しています。臓器別の専門家・専門医はもちろん必要ですが、患者さんを総合的・多角的・継続的に診て、必要な場合に高度・専門医療につなぐ、また、病気予防のための生活指導やリハビリ、介護・福祉サービスとの調整なども一貫して担う、そんなプライマリ・ケア医の必要性は高まっています。
日本プライマリ・ケア連合学会のホームページでは、各地域のプライマリ・ケア医の紹介をしていますが、患者さん自身でも相性のいい医師を見つけていくことも大切だと思います。かぜなどで病院にかかった時、他の健康相談をしても幅広く対応してくれるか、信頼できる人からの口コミなども参考になるでしょう。患者さんと医師が意思疎通を図り、常に良好な関係を保つことこそが安全で安心できる医療の近道です。