ラベル 消化器内科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 消化器内科 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/11/16

大腸がんから命を守る大腸内視鏡検査の重要性

<日本人に最も多い[大腸がん]>


 大腸がんの診断数は年約15万例とがんの中で最多です。死亡数は年約5万人と肺がんに次ぐ2位で、女性では最も多くなっています。

 大腸がんは早期に発見できれば完治も見込めるがんですが、厄介なのは、早期がんの多くは無症状で、血便などの症状が出て受診した時には、すでにかなり進行してしまっているケースが少なくないからです。

2025/08/17

長引く胃やみぞおちの不快感 [機能性ディスペプシア]

<新たな国民病になり得る病気>


 機能性ディスペプシア(FD)とは、内視鏡検査などで特別な所見(潰瘍やがんなど形で分かる異常=器質的疾患)が認められないのに、胃やみぞおちなど上腹部の不快な症状が持続して、または繰り返し出現する消化管機能障害のことです。健康診断受診者の分析では、日本人の11~17%がかかっているとのデータもあり、新たな国民病になり得る病気として近年注目を集めています。

2024/08/18

胃がん・大腸がんから命を守る「内視鏡検査」

<胃・大腸内視鏡検査の重要性>

 がんの部位別死亡統計(2022年)で、胃がんは男性では3位、女性では5位。大腸がんは男性2位、女性1位です。どちらのがんもある程度進行しないと自覚症状があらわれないことがほとんどですが、早期に発見し、適切な治療を受ければ高確率で治癒させられるがんです。

2024/01/20

事故・病気リスク高める「睡眠時無呼吸症候群」

 <心臓・脳血管疾患引き起こす恐れ>


 睡眠時無呼吸症候群は、眠っている時に呼吸が何度も止まったり浅くなったりして、体の低酸素状態が発生する病気です。その多くは、あおむけで寝ている時に、舌が気道を塞ぎ、呼吸が止まることで起こります。医学的には不眠などの症状に加え、10秒以上呼吸が止まる状態が、1時間に5回以上みられることが診断基準です。

2023/07/20

チーム医療で復帰支える「回復期リハビリ」

<リハビリの質で回復具合に差>

 回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患や骨折などで、手術など急性期の治療を終え、病状が安定し始めた患者さんが集中的にリハビリを受けるための病床です。回復期は、後遺症のある人にとって最も回復が期待できる重要な時期で、低下した能力の回復や日常生活動作の改善など、日常・社会生活に復帰することを目指します。

2023/02/19

感染性腸炎とは?治療と感染対策のポイント

「原因となる病原体は多種多様」

 感染性腸炎とは細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染してさまざまな消化器症状を引き起こす病気です。多くは食品や飲料水を通して経口的に病原体が体内に入ります。そのほか、病原体が付着した手で口に触れることによる感染、感染者の吐しゃ物や便の処理時の感染などがあります。

2023/01/22

命を守る40代からの胃・大腸内視鏡検査

「がん検診は不要不急ではない」

 国立がん研究センターがん統計による2021年のがん死亡統計で胃がんは男性では3位、女性では5位。大腸がんは男性2位、女性1位です。日本では毎年約100万人ががんと診断されますが、医療の進歩によって、早く治療を開始すれば「治る病気」になってきました。

2022/09/18

増え続ける指定難病「IBD(炎症性腸疾患)」





札幌IBDクリニック
田中 浩紀 院長
●1999年札幌医科大学卒業。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。医学博士。
●札幌IBDクリニック 札幌市中央区南19条西8丁目1-18 山鼻ドクタータウン2F
https://sapicl.com/




くり返す下痢や腹痛は専門医へ

 IBD(炎症性腸疾患)とは大腸や小腸など消化管に慢性の炎症が起きる病気の総称です。IBDには「潰瘍性大腸炎(UC)」と「クローン病(CD)」という2つの病気があり、主な症状は下痢や腹痛、血便などです。UCは主に大腸中心に炎症が起き、CDは小腸や大腸のほか、口からお尻まですべての消化管に炎症が起きる可能性があります。罹患数が急増しており、最新の疫学調査によるとUCは約22万人、CDは約7万人いるとされます。

 IBDは症状が落ち着いている状態(寛解)と悪化している状態(再燃)を繰り返し、慢性の経過をたどる病気です。未だ完治させる治療法が見つかっていないため、発症時(診断時)に症状がある場合は適切な治療によって「寛解へ導く」こと、そして、継続的な治療で再燃をコントロール し、「寛解を維持する」ことが目標です。難病と聞いて落胆する患者さんも少なくありませんが、長期にわたり寛解を維持できれば、安定した毎日を送れます。

 そのために重要なのが「早期診断・早期治療」です。早期診断できれば、使える薬剤など治療の選択肢が広がり、また、治療が早ければ早いほど患者さんの生活の質を落とさずに高い治療効果を期待できます。繰り返す下痢や腹痛、血便は異変を告げるサインです。放置しないで専門医を受診してください。

 

新薬の登場で広がる選択肢

 

 IBDの診断に欠かせないのが内視鏡検査です。特にCD診療では、通常の内視鏡では観察が難しい小腸を調べることが重要で、バルーン内視鏡やカプセル内視鏡を使った検査を行います。内視鏡以外では、苦痛の少ない超音波検査も積極的に行います。

 治療の柱となるのは薬物療法です。近年は副作用の少ない薬や、従来の薬では改善しにくかった難治性の患者さんにも効果が期待できる新薬などが続々と登場し、薬物療法が大きく進化しています。安全で長く使える「5-ASA製剤」を基本に、「ステロイド薬」や「免疫調節薬」、「生物学的製剤」や「JAK阻害薬」など、働き方も強さもいろいろな治療薬を患者さん一人ひとりの症状に合わせて使い続けていきます。また、5-ASA製剤やステロイド薬による効果が十分に認められない場合などに、血液中の白血球を吸着除去することで過剰な免疫反応を抑制する「血球成分除去療法(GCAP)」も検討されます。

 IBDを発症した人が普通の生活を送るために必要なのは、正しい知識で治療に臨むことです。信頼できる医師と共に二人三脚でIBDに立ち向かっていってほしいと思います。

2022/06/18

運動不足,ストレスは痛風,高尿酸血症の大敵(2022.6.18記)




佐野内科医院
佐野 公昭 院長
●1984年岩手医科大学卒業。89年北海道大学大学院修了。日本内科学会認定総合内科専門医。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。医学博士
●佐野内科医院 札幌市中央区南5条西15丁目1-6
http://www.sanonaika-clinic.com




コロナ禍で患者増,痛風と高尿酸血症(2022.6.18記)


 「風が吹いても痛い」ほどの激痛が足の親指の付け根などを襲うことからその名前がつけられた「痛風」。患者数は増加を続けていて国内で110万人を超えると推定されています。コロナ禍の在宅勤務や外出自粛で運動不足になったり、食生活が乱れたりすることが原因となり、痛風や痛風につながる「高尿酸血症」の患者数が2~3割増加しているとの調査結果も報告されています。

 血液中の尿酸の値は健康診断などで知ることができます。1デシリットルあたりの血清尿酸値が7ミリグラムを越えると高尿酸血症といいます。

 血液中の尿酸値が高い状態が続くと関節などに尿酸がたまり、結晶化します。結晶が関節の中ではがれ落ちた時、白血球が結晶を異物と認識して攻撃し炎症を生じます。このとき関節の痛みや腫れ、発赤、熱感などの症状を起こします。これが痛風の発作です。多くは足の親指の付け根で起こりますが、膝や肘、かかと、手の関節に現れることもあります。痛風は男女差があり、中年以降の男性に圧倒的に多い病気ですが、近年は閉経後の女性の発症も増えています。

 尿酸が高い状態のまま放置していると、痛風になるだけではなく、慢性腎臓病、高血圧症、冠動脈疾患、脳卒中、心房細動、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝炎、糖尿病などのリスクも高くなります。尿への排泄も多くなるため尿路結石になる頻度も高くなります。

 肥満症やメタボリックシンドローム、高血圧症などの基礎疾患があるとそれだけでも尿酸値が高くなり、糖尿病や高脂血症など他の生活習慣病を複合的に合併するリスクも高くなります。ガイドラインではこうした基礎疾患のある方や自覚症状がなくても長年尿酸値高値を指摘されている場合も治療を勧めています。

 

病気の治療・予防のコツ,生活習慣の見直しが重要

 

 痛風の治療は、発作を起こして痛みのある間は痛みを抑える消炎鎮痛剤などにより、痛みと炎症を抑えます。痛みが落ち着いてから発作の原因となる尿酸値を下げる治療を始めます。急に尿酸値を下げると発作が起きることがありますので少しずつ下げるようにします。血液の尿酸値が下がっても関節の中の尿酸や結晶はなかなかなくならないので低めの尿酸値(1デシリットルあたり6ミリグラム以下が目標)を長期間維持するようにします。

 尿酸値を下げるために大切なのは生活習慣の見直しです。肥満、アルコールの飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足、ストレスは痛風、高尿酸血症の大敵です。プリン体の多い食品やアルコールは控えるようにしましょう。果糖やキシリトールも尿酸値を上昇させますので控えるようにしてください。それとは逆にコーヒー、チェリー、ビタミンC、低脂肪の乳製品は痛風リスクを低減すると報告されています。

 薬も最近種類が増えました。体内で尿酸が作られるのを抑える薬と、体内から尿への尿酸の排泄を促進する薬があります。患者さんの病態にあわせて薬を選択し少しずつ尿酸値を下げていき、目標を維持します。内服を中断すると再発したりしますので自己判断でやめたりせず治療は長く続けてください。

2022/05/20

腹痛や下痢が続く時は早期診断・治療を




札幌IBDクリニック
田中 浩紀 院長
●1999年札幌医科大学卒業。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。医学博士。
●札幌IBDクリニック 札幌市中央区南19条西8丁目1-18 山鼻ドクタータウン2F
https://sapicl.com/




年々増え続けている指定難病の「IBD」

 IBDとは大腸や小腸など消化管に慢性の炎症が起きる病気の総称です。日本語では「炎症性腸疾患」と呼ばれています。IBDには「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」という2つの病気があり、主な症状として腹痛や下痢、血便などをきたします。潰瘍性大腸炎は主に大腸に炎症が生じる病気ですが、クローン病は小腸や大腸のほか、口からお尻まですべての消化管に炎症が生じる可能性があります。

 すぐ命にかかわる病気ではありませんが、放置していると症状が悪化し、下痢がひどい場合には1日20回以上トイレにかけ込むこともあるほどで、生活の質に大きく影響します。

 潰瘍性大腸炎とクローン病はともに厚労省の指定難病(特定疾患)です。病気の詳しい原因は解明されていませんが、遺伝的素因があり、そこにいくつもの複雑な環境因子が加わり、免疫異常を起こしていると考えられています。IBDに苦しむ患者さんは年々増え続けており、最新の疫学調査によると潰瘍性大腸炎は約22万人、クローン病は約7万人いるとされています。決してまれな病気ではなく、特に潰瘍性大腸炎は指定難病で最多の患者数です。

 

早期診断・治療が重要“繰り返す症状”は専門医へ

 

 IBDは症状が落ち着いている状態(寛解)と悪化している状態(再燃)を繰り返し、慢性の経過をたどる病気です。未だ完治させる治療法が見つかっていないため、発症時(診断時)に症状がある場合は適切な治療によって「寛解へ導く」こと、そして、適切な治療を継続することで再燃をコントロールし、「寛解を維持する」ことが重要です。長期にわたり寛解の状態を維持することができれば、外出時の度重なる便意など日常生活に不安を抱えることなく、安定した毎日を送ることが可能になります。

 そのために重要なのが「早期診断・早期治療」です。早期に診断できれば、使える薬剤など治療の選択肢が広がり、また、治療が早ければ早いほど患者さんの生活の質を落とさないような治療効果が期待できます。ただし、IBDは個々の患者さんによって病状が多様で、ほかの消化器疾患と似た症状も含むため、比較的診断が難しい病気です。実際にIBDと診断されるまで時間がかかり、病院を転々としていた患者さんも少なくありません。腹痛や下痢、血便などの〝おなかの症状〟が続く場合にはIBDの可能性があるため、この病気の診療経験が豊富な医師や病院にかかることをお勧めします。

 

適切な治療の継続で難病でも普通の生活を

 

 難病になると普通の社会生活を営めなくなるというイメージがあるかもしれません。しかし、IBDにおいては検査や治療が目覚ましく進歩し、一人ひとりに合った正しい治療と日常生活の工夫により症状を抑えられれば、病気になる前とほとんど変わらない生活を送ることができます。実際に多くの患者さんが進学、就職、結婚、出産など人生の大切な節目も安定して乗り越えています。難病ではありますが、必要以上に恐れる必要はありません。

 何よりも大事なのは、治療により一度寛解状態になっていても自己判断で通院や服薬を中止・中断せず、再燃を予防するために適切な治療と定期的な検査を継続的に受けることです。こういった病気に対する正しい知識をもって、信頼できる医師と共に二人三脚でIBDに立ち向かっていってほしいと思います。

2021/09/20

胃がん検診と胃がんのリスク判定(2021.9.20記)

佐野内科医院 佐野 公昭 院長




佐野内科医院

佐野 公昭 院長
●1984年岩手医科大学卒業。北大大学院修了。日本内科学会認定総合内科専門医。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。医学博士
●佐野内科医院 札幌市中央区南5条西15丁目1-6

http://www.sano-naika-clinic.com/





コロナでがん検診が低迷病状進行リスクが膨らむ(2021.9.20記)

 9月は、がん検診受診率向上などがんの早期発見・治療の重要性を広く伝えるための啓発活動が行われる「がん制圧月間」です。がん検診の目的は、がんを早期発見・治療することにより死亡率を低下させることです。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、例年に比べ、がん検診を受診する方が大きく減っています。発見・診断が遅れれば、病気が進行してしまう恐れがあります。

 コロナの流行によって、がんが減るわけではありません。早期発見のチャンスを逃さないように、しっかりとがん検診を受けてほしいです。また、検診で「精密検査が必要」とされた方はそのまま放置せずにできるだけ早く受診してください。今回は、胃がん検診と胃がんのリスク判定について紹介します。

 

胃がん検診の検査方法内視鏡検査のメリット

 

 国のがん検診の指針が2016年に改定され、各市町村の胃がん検診が変わりました。札幌市では19年1月から検診内容、対象年齢、受診間隔が変更になりました。バリウム検査に加え、内視鏡検査が選べるようになり、対象年齢は40歳以上から50歳以上に、検査の間隔は「毎年」から「2年に1回」となりました。

 バリウム検査は費用が安く、検査時間が短いなど優れた検査法ですが、平坦な病変や食道の病変を見つけにくいという弱点があります。また、検査終了後にバリウムの排泄が辛いという方も少なくありません。異常が疑われる場合には、あらためて内視鏡検査が必要になることも弱点と言えるかもしれません。一方、内視鏡検査はバリウム検査に比べて喉の麻酔をするなど準備に時間がかかったりはしますが、食道の観察も行えますし胃の中の様子も形だけではなく色調の変化、粘液の付着なども含めて細かく観察できるのが利点です。また、内視鏡検査では、がんが疑われる病変があれば、その組織を一部採取して(生検)、がんかどうかの確定診断をつけることができます。治療までの時間を短くすることができ、がん検診の目的である「がんによる死亡率の低下」という点では内視鏡検査の方が有用であると考えられます。

 

将来における胃がんのできやすさを判定する検査

 

 胃がん検診の変更に伴い、胃がんになりやすいかどうか胃の健康度を判定する検査(胃がんのリスク判定)も新たに導入されました。ピロリ菌は胃がんの原因の80%であるとされており、ピロリ菌感染に起因する胃炎がある場合は、胃がんになりやすいと言われております。血液検査でピロリ菌感染の有無と、胃粘膜の萎縮の程度を示す物質の測定を組み合わせ、将来の胃がんのリスクを判定するものです。判定はA(ピロリ菌の感染がなく、胃粘膜の萎縮もない)・B(感染はあるが、萎縮はない)・C(感染があり、萎縮もある)・D(感染はないが、萎縮はある)の4群に分けます。リスクのあるB〜D群の方は、内視鏡などによる精密検査を受けることが望まれます。

 札幌市では19年1月から、満40歳の方を対象に一度だけこの検査を受けることができます(胃炎治療中など一部対象外あり)。対象となる方は、ぜひ制度を利用して受診し、胃がんのリスク低減や早期発見につなげていただきたいと思います。

2021/03/19

胃食道逆流症(GERD)ってどんな病気?

佐野内科医院 佐野 公昭 院長 


佐野内科医院

佐野 公昭 院長
●1984年岩手医科大学卒業。北大大学院修了。日本内科学会認定総合内科専門医。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。医学博士
●佐野内科医院 札幌市中央区南5条西15丁目1-6

http://www.sano-naika-clinic.com/





GERD(胃食道逆流症)ってどんな病気?

 胸がむかむかする胸やけや、酸っぱいものがこみ上げてくる呑酸(どんさん)。これらの症状は胃酸が胃から食道に逆流して起こる「GERD=ガード」の可能性があります。

 GERDは「胃食道逆流症」の英語の頭文字をとった略語で、胃の内容物が食道に逆流して起こる病気の総称です。胃内容物の食道への逆流が頻繁に起こるようになると、胃液の中の酸や消化酵素のために、胸やけや呑酸が起こります。また、胃酸のために食道粘膜がただれて食道炎が起こる場合もあります。そのほか、胸痛、ぜんそく、咽喉頭部異常感、中耳炎、歯の酸蝕症といった食道以外の臓器の病気や症状と関係しているのではないかと言われています。

 逆流する主な原因は、食道と胃の間を閉じている下部食道括約筋部の衰えです。年齢を重ねるにつれてこの筋肉部が弱まって、食道と胃の間が開き、胃酸が逆流しやすくなります。加齢や腹圧の上昇などによって、胃が食道側に飛び出す「食道裂孔ヘルニア」も原因の一つです。内服薬が関係する場合もあります。

 近年、GERDの患者数は著しく増加し、成人の約1割がかかっていると推定されます。その理由として、高齢社会の進展、食生活の欧米化、肥満者の増加のほか、ピロリ菌の保有率が減ったことが挙げられます。胃がんの原因になるピロリ菌の感染減少は良いことですが、ピロリ菌のいない健康的な胃は胃酸が出やすいので、結果的にGERDの増加につながっています。

 GERDは睡眠障害など生活の質を低下させ、毎日の仕事にも影響を及ぼします。より良い生活を保つためにも、できるだけ早く正しい診断を受け、適切な治療を始めることが大切です。

 

GERDの診断と治療

 

 診断に重要なのは患者さんの自覚症状です。まず問診を行い胸やけの有無やどのような時に症状が出るのかなどを確認します。GERDを疑う場合に用いられる問診票はいくつか種類がありますが、どれも初期診断に有用なことが分かっています。いくつかの問診票は症状の頻度を点数化していて治療の効果判定にも有用です。GERDを診断するためには、内視鏡検査が必要になります。どうしても検査ができない場合には内服薬による治療を先に行ってみることもありますが、短期間の服用にとどめ、症状が再発する場合には必ず検査を受けて下さい。特殊な検査として24時間食道インピーダンス・pHモニタリングと言って食道への胃酸、胃液や食物残渣などの逆流の有無を判別する検査を行う場合もあります。

 原因や重症度など、段階によりさまざまな治療法や治療の手順がありますが、第一の治療は生活習慣の改善です。脂肪の多い食事、甘いものの食べ過ぎは控えた方がいいでしょう。また、食後すぐに横になるのをやめ、就寝の少なくとも2時間前、できれば3時間前からはものを食べないようにします。就寝時は頭を高くしたり、体の左側を下にする姿勢にしたりすると逆流しにくくなります。肥満やたばこも良くありません。

 第二の治療は薬物療法です。胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、その強力な作用で症状を改善させる代表格です。近年は、PPIの中でより強く酸分泌を抑えるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P‐CAB)という薬剤が使われるケースが増えてきました。このほか、食道の粘膜を保護する薬や胃の動きをよくする薬、漢方薬なども使います。自覚症状や食道炎が改善した後にさらに薬物療法を続けるかどうかは、患者さんごとに判断します。再発が多い病気なので、主治医とよく相談したうえで、ご自身に合った薬の飲み方をしてください。

 内科治療で思わしい改善が認められない場合、胃食道逆流を起因とした喘息や嗄声、咳嗽、胸痛、誤嚥など食道以外の症状を有する場合は外科治療が考慮されます。以前は開腹術が行われていましたが、最近は腹腔鏡を用いた手術や内視鏡的な治療など体に負担の少ない治療法が主流になってきています。

人気の投稿

このブログを検索