2025/11/16

大腸がんから命を守る大腸内視鏡検査の重要性

<日本人に最も多い[大腸がん]>


 大腸がんの診断数は年約15万例とがんの中で最多です。死亡数は年約5万人と肺がんに次ぐ2位で、女性では最も多くなっています。

 大腸がんは早期に発見できれば完治も見込めるがんですが、厄介なのは、早期がんの多くは無症状で、血便などの症状が出て受診した時には、すでにかなり進行してしまっているケースが少なくないからです。

 大腸がんで手遅れにならないために重要なのは、「症状がない」うちに検査でがんを見つけることです。検査の中で最も診断精度の高いものは「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」です。直接大腸の中を見ながら行う検査なので、病変の見落としのリスクが低く、疑わしい病変が見つかった場合にその場で組織を採ることができます。また、一定の頻度でがん化する恐れのあるポリープも切除できます。診断と治療を兼ねた検査法で、患者さんにとってのメリットは大きいです。


<40歳を過ぎたら[まず一度]>


 大腸カメラは<辛そう、痛そう、大変そう﹀という先入観から、精密検査が必要にもかかわらず、受診を躊躇されている方もいらっしゃると思います。しかし現在は、内視鏡の進化や検査技術の向上、患者さんの負担を少なくする工夫を重ねることで、検査後に「辛くも痛くもなかった」「楽だった」「これだったらまた検査しても構わない」とおっしゃる方が増えているように思います。

 カメラ自体もより細く、よりしなやかに進化しています。もちろん性能も進歩し、がんやポリープを発見する精度は格段に高くなっています。大腸カメラは技術習得が難しく、医師の経験や技量の差が出やすい分野です。苦痛の少ない検査を望むなら、日本消化器内視鏡学会が認定する指導医、専門医がいる病院を選ぶことをお勧めします。また、近年は鎮静剤を使って患者さんが眠った状態で検査する方法も普及しています。検査当日、自宅を出る前に下剤を服用することを不安に思う方も多いと思いますが、院内の専用スペースで医療スタッフのサポートのもとで下剤の服用など前処置を行える病院もあるので安心してください。

 しっかりと検査さえ受けていれば予防できる、治せる大腸がんで死ぬのはもったいないことです。40歳を過ぎたら症状がなくても「まずは一度」、それ以降は数年ごとの定期的な大腸カメラをお勧めします。また、地域や職場で受けた便潜血検査が陽性であった場合は、必ず精密検査を受けて、早期発見の機会を逃さないでください。




社会医療法人 交雄会メディカル
交雄会新さっぽろ病院
三井 慎也 理事長
1998年帝京大学医学部卒業。帝京大学医学部総合内科、札幌医科大学第4内科、手稲渓仁会病院消化器病センターなどを経て、2015年より現職。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡指導医。日本消化器病学会認定消化器病専門医。

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交雄会新さっぽろ病院
札幌市厚別区厚別中央1条6丁目2-5
https://www.kss-hp.or.jp/

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