2024/08/18

胃がん・大腸がんから命を守る「内視鏡検査」

<胃・大腸内視鏡検査の重要性>

 がんの部位別死亡統計(2022年)で、胃がんは男性では3位、女性では5位。大腸がんは男性2位、女性1位です。どちらのがんもある程度進行しないと自覚症状があらわれないことがほとんどですが、早期に発見し、適切な治療を受ければ高確率で治癒させられるがんです。

手遅れにならないためには、「症状がないうち」にがんを見つけることです。

 胃がん、大腸がんを発見する検査で、診断精度が最も高いのは「胃・大腸内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)」です。病変の見落としのリスクが低く、疑わしい病変が見つかった場合に、検査中に組織を採取し確定診断に導けることも利点です。大腸カメラでは、一定の大きさ以上のポリープが見つかった場合、その場で切除することもできます。

 内視鏡検査では、がんだけでなく、がん化する恐れのあるポリープや潰瘍、胃であれば胃がんの原因の大半を占めるピロリ菌の有無、大腸であれば年々増加傾向にある炎症性腸疾患など、さまざまな異常を発見できます。病気の早期発見・治療に結びつくことはもちろんですが、がんのリスクなど自分自身の胃・大腸の健康状態を把握することで、生活習慣の改善など健康意識を高め、定期検査の徹底など予防的なアプローチをとるきっかけになります。

 このように、胃・大腸内視鏡検査は、病気の早期発見と診断、治療、そして予防にもつながる非常に有用な検査法といえます。


<進歩する検査、定期的な受診を>


 「内視鏡検査はつらい、苦しい」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、医療技術・器具の進歩により、患者さんの負担は大幅に軽減されています。また、鎮静剤を使って眠っているうちに検査する方法も普及していますので、安心して受けてほしいです。

 当院でも導入していますが、人工知能(AI)を搭載した内視鏡も登場しています。これは、大腸の検査時に撮影される画像・動画から、AIがポリープなどの病変を検出すると音や光で知らせるシステムです。医師の目とAIのダブルチェックで、より精度の高い検査が可能となり、微小な病変の見落としを防いでいます。

 内視鏡検査を受けるのに適切な時期や間隔は、病歴や家族歴、生活習慣などにより個人差がありますが、30代でも進行がんが見つかるケースもあるので、30歳を過ぎたら症状がなくても「まずは一度」、それ以降は主治医と相談しながら1年〜数年ごとの定期的な検査をお勧めします。症状が出ていない、健康だと思っているときから定期的に検診・検査を受けることが、胃がん・大腸がんで死なないための最も有効な手段であることを忘れないでください。



社会医療法人 交雄会メディカル
交雄会新さっぽろ病院
佐々木 貴弘 消化器内科医長
日本内科学会認定総合内科専門医・日本消化器病学会認定消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医

社会医療法人 交雄会メディカル  交雄会新さっぽろ病院
 札幌市厚別区厚別中央1条6丁目2-5
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