2024/05/16

うつ状態〜一人で悩まず専門医に相談を

<うつ状態とは?我慢せず早期受診が重要>


 うつ状態とは、気分が落ち込む、やる気がでない、何にも興味が持てない、集中力が低下するなどの精神症状に加えて、不眠、食欲低下、倦怠(けんたい)感などの身体症状も生じる状態をいいます。時には、実際はそのようなことがないのに「悪いことをしてしまった」「お金がない」と感じたり、体の不調を訴え続けたりすることもあります。

また、自分を傷つけてしまったり、死ぬことを考えたりする場合もあります。

 うつ状態を呈する病気としては、うつ病がよく知られています。うつ病以外にも、双極性障害(そううつ病)、不安障害、統合失調症、適応障害、発達障害、認知症など、さまざまな精神科の病気などでうつ状態になることがあります。また、身体の病気や服用している薬の影響でもうつ状態になることがあります。ストレス発散のために飲んでいるお酒が、逆にうつ状態を引き起こしてしまっているケースもあります。

 つらい体験などをした時に、気分が落ち込む、眠れないなどのうつ状態になったことがある方もいらっしゃると思います。その時は、数日間で自然に良くなったかもしれませんが、うつ状態が長く続いたり、悪化したりする場合には、うつ病など何かしらの原因が考えられます。 我慢し続けていると症状が重くなり治療にも時間がかかってしまいます。「気のせい」「そのうち良くなる」「自分の頑張りが足りない」などとは思わず、精神科や心療内科を受診することをお勧めします。早期受診、早期発見・治療が一番です。


<うつ状態の診断と治療焦らず少しずつ>


 まずは、うつ状態の原因を探っていきます。どのような症状があるのか、症状が生じるようになったきっかけ、どのような問題が生じているのかなどをお聞きします。可能であれば、ご家族からも話を伺います。また、採血や頭部CT・ MRIなどの検査で身体の状態を調べ、現在服用している薬の確認なども行います。

 治療は、うつ病が原因であれば、抗うつ薬の使用を検討するなど、原因ごとに変わってきます。 回復には十分な休養が大事ですので、仕事をしている方は休職を検討するなどの環境調整も行います。また、生活リズムを整えることも重要です。質の良い睡眠を取り、起床後は日光を浴びて朝食をしっかり取るなど、体のリズムを整えましょう。アルコールは、うつ状態を悪化させる要因となるため控えてください。

 回復には時間がかかることもありますが、つらい状態から抜け出すために、焦らずに通院を続けるようにしましょう。






医療法人社団正心会  岡本病院
井上  佳祐 医師
・ 精神保健指定医・ 日本専門医機構認定精神科専門医・ 医学博士
医療法人社団正心会 岡本病院

札幌市中央区北7条西26丁目3番1号

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