医療法人 藻友会
札幌いしやま病院札幌いしやまクリニック
石山 元太郎 理事長
●日本外科学会認定外科専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。
●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1
http://ishiyama.or.jp/
札幌いしやま病院札幌いしやまクリニック
石山 元太郎 理事長
●日本外科学会認定外科専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。
●札幌いしやま病院 札幌市中央区南15条西10丁目4-1
●札幌いしやまクリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-1
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精密で複雑な肛門の機能、排便支える二重の括約筋
普段の生活では「肛門」のありがたみを実感する機会はほとんどないと思いますが、肛門は精密機械顔負けの高度で複雑な機能を備えた大事な臓器です。
口から入った食物は、消化管を通り、最後には肛門から便として排出されます。もう少し詳しく説明すると、胃で消化された食物の栄養素と水分は小腸・大腸で吸収され、残ったものが便となり、S字結腸に溜められます。溜まった便は、食事の刺激で起こる腸の蠕動運動によって、肛門手前の直腸に押し出され、それが神経・脳へと伝達され、便意を感じて排便します。ここに、肛門の素晴らしい機能があります。それは「直腸に溜まった便を無意識にせき止めておき、好きな時に排出できること」です。もし、直腸に少しでも便が押し出されるたび、肛門に力を入れ続け、便が漏れるのを防がなければならないとしたら、トイレに間に合わなかったり寝ている間に便が漏れたり、安心して生活できなくなるでしょう。
便を保持・排出するため、肛門を締めたりゆるめたりする筋肉が「括約筋」です。括約筋は二重構造になっていて、一つは自分の意思とは関係なく動く内肛門括約筋で、もう一つは自分の意思で動かせる外肛門括約筋です。直腸に十分な量の便が押し出されると、内肛門括約筋が自然にゆるんで排便の準備をします。この時、意識的に外肛門括約筋をゆるめることで、私たちは排便できています。反対に、意識的に締めることで、排便してはいけない状況で便を漏らさないよう我慢できるのです。
便漏れ防ぐ肛門クッション、便とガス見分けるセンサーも
普段の生活で便やガス(おなら)が漏れ出てしまわないのは、肛門の出口から数センチのところにある「肛門クッション」のおかげもあります。網目状に広がった血管があり、軟らかく弾力性のある肛門クッションは、肛門から液体や気体が漏れ出ないよう水道の蛇口のゴム栓のような役割を果たしています。
また、肛門にはサンプリング機能と呼ばれる働きがあり、直腸から降りてきたものが、「個体」か「液体」か「気体」か、を瞬時に判別することができます。そして、ガスの時のみ排出したり、便とガスとが同時に降りてきた時は、便を残したままガスだけを出したり、まさに精密機械のような繊細で高度な選別がおこなわれています。便とガスを識別できないと、おならがしたくなった時も必ずトイレに行って便座に座らなくてはならないなど、生活はとても不便になるでしょう。
生活の質を保つために、肛門を意識した生活を
排便は毎日の生活で当たり前に行われる行為ですが、そこに不便を感じると生活の質は著しく低下します。正しい排便習慣を身に付け、肛門をいたわる生活を心掛けるとともに、排便時に違和感や異変があれば、迷わず大腸肛門病医を受診してほしいと思います。