2025/09/18

なかなか治らない虫刺されのかゆみ・しこり

<虫刺されがなかなか治らず、かゆみや赤み、しこりが残っていて不安です。病院を受診した方がいいでしょうか>


 夏の暑さも終わり、少しずつ秋を感じる季節となりましたが、皮膚科診療の現場では「虫刺されのかゆみが一向に治らない」「市販薬を使っても症状が良くならない」といった︿虫刺されの悩み〉で受診される患者さんが少なくないです。

 一般的に多くの虫刺されは軽症で、かゆみや赤みなどの症状は数日から1、2週間ほどで自然に治癒しますが、中には虫刺され跡のしこりが長期間残り、激しいかゆみが続くケースもあります。

これは、虫刺されがきっかけで発症した「結節性痒疹(ようしん)」と呼ばれる皮膚病である可能性が高いです。直径1センチ前後の赤や茶色の盛り上がり(結節)がいくつもできて、眠れないほどのかゆみに悩まされます。強いかゆみのためにかきこわしてしまい、しばしば出血します。また一度悪化すると治りにくいのも特徴で、数年以上続くケースもみられます。

 結節性痒疹は多数の虫刺されがきっかけで発症する場合もありますが、他にも、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそくなどを持つアレルギー体質の人が発症しやすいことが知られています。虫刺されの原因となる虫では、蚊よりもブヨ(ブユ)やヌカカに刺された時に結節性痒疹を引き起こすケースが多いです。ヌカカは山間地の水辺など人々がキャンプで入り込みやすい場所に生息する体長1〜3ミリの非常に小さな虫です。体が小さいため服で覆われてる部分にも入り込んで刺すこともあり、何十か所と大量に刺されてしまうことが多く注意と虫除け対策が必要です。

 結節性痒疹の治療には、強めのステロイドの塗り薬を使います。かゆみ止めの飲み薬である抗アレルギー薬も併用します。軽症状態から治療できれば、半年~1年で治ることもありますが、難治性のため症状、特にかゆみが数か月単位・数年単位で続く場合も多く、根気強い治療が求められます。

 虫刺されによって生じる皮膚症状は、虫に刺された頻度や原因となる虫の種類、その人の体質によって症状のあらわれ方に個人差が大きいのが特徴です。なかなかよくならない虫刺されの症状でお困りの場合には、「たかが、虫刺され」とあなどらずに皮膚科専門医にご相談ください。かきこわしてしまうと、さらに治療が難しくなるため、できるだけ早めに受診していただくことが重要です。




宮の森スキンケア診療室

上林  淑人 院長
日本形成外科学会認定形成外科専門医。医学博士
札幌市中央区北5条西27丁目2-3 メディック28 3F
(地下鉄東西線「西28丁目」駅 1番出口となり)
https://www.m-skin.com/

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