<老け顔になるさまざまな原因>
コロナ禍で長期間のマスク生活を強いられてきたため、自身の顔貌変化に気が付かず、マスク着用が緩和された現在、「マスクを外した顔を見ると老けた気がする」と驚かれて来院される方が増えています。
シミ、シワのほかにも、老人性のイボや大きく盛り上がったほくろ、加齢に伴うまぶたのたるみも老け顔の原因となります。これらの症状は形成外科的治療により改善が期待できます。
【シミ、シワ】既に時間が経過した濃いシミに対しては、レーザー治療が効果を発揮します。薄いもやもやしたシミには、ハイドロキノンやトレチノインの外用、トラネキサム酸、ビタミンCの内服治療が必要です。目尻や眉間のシワにはボトックス注射が適応となり、シワの改善や予防に高い治療効果が得られます。
【老人性のイボ、ほくろ】頬やこめかみのシミが徐々に盛り上がり、かゆみが生じる老人性のイボは、「脂漏性角化症」という皮膚の良性腫瘍の一つです。炭酸ガスレーザーを用いて蒸散させることで取り除けます。大きく盛り上がったほくろも「色素性母斑」という良性腫瘍です。ほくろの除去は、直径2ミリ以下で皮膚の比較的浅い場所にあるものは炭酸ガスレーザーによる蒸散が適しており、腫瘍が盛り上がり、皮膚の深い場所にあるものは手術による切除縫合が必要になります。
<まぶたが下がる「眼瞼下垂」>
【まぶたのたるみ】まぶたが垂れ下がり、目が十分に開きにくい状態のことを「眼瞼下垂」といいます。パソコンやスマホで目を酷使する人やコンタクトレンズの長期使用、アトピー性皮膚炎や花粉症の影響、白内障の手術後など、さまざまな原因で発症します。加齢に伴うまぶたの皮膚・腱膜・筋肉の変性による老化現象と考えられるので、誰にでも起こり得る病気です。眼瞼下垂は視野が狭くなり、前が見えにくくなるため、おでこの筋肉を使って眉毛を強く上げたり、顎を突き上げたりして物を見るようになります。この結果、おでこや眉間に深いしわが寄るなど、老人に似た特有の顔つきになりやすいです。近年では、眼瞼下垂症が頭痛や肩こりなどさまざまな不定愁訴を引き起こす要因となっていることも分かっています。治療は手術が必要で、垂れ下がった余分な皮膚と皮下組織などを切除する術式や、まぶたを吊り上げる筋肉を瞼板の正しい位置に再固定する術式などがあります。
私たち形成外科医は機能的な面のみならず、整容面も十分に考慮しながら手術を行います。老け顔が気になる方は、年齢のせいだとあきらめず、ぜひお近くの形成外科へご相談ください。
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