2020/04/14

眼瞼下垂(がんけんかすい)〜加齢に伴うまぶたのたるみ〜

いしやま形成外科クリニック 石山 誠一郎 院長



医療法人 藻友会
いしやま形成外科クリニック
石山 誠一郎 院長
●日本形成外科学会認定形成外科専門医、北海道大学形成外科客員臨床講師
いしやま形成外科クリニック 札幌市中央区南15条西11丁目2-6
http://www.ishiyama-keisei.com/





眼瞼下垂(がんけんかすい)
〜加齢に伴うまぶたのたるみについて〜

 眼瞼下垂とは、まぶたが垂れ下がり、目が十分開きにくい状態のことです。生まれつきまぶたが下がっている先天性眼瞼下垂と、日を追うごとにだんだんとまぶたが下がってくるような後天性眼瞼下垂があります。

 後天性眼瞼下垂の多くは、まぶたの皮膚のたるみを伴い、まぶたの支持組織(瞼板というコラーゲンのかたまり)とまぶたを持ち上げる筋肉の接着部分(拳筋腱膜)が弱まり、筋肉の動きがストレートに伝わらなくなるために起こります。

 眼瞼下垂は、長時間のパソコン、スマートフォンの使用などで目を酷使する人や、コンタクトレンズの長期使用、アトピー性皮膚炎、花粉症、過剰なメイク・メイク落としなどで生じるまぶたのこすれ、白内障の手術後などさまざまな原因で発症します。言いかえれば、加齢によるまぶたの皮膚、腱膜、筋肉の変性による老化現象の一つと考えられますので、だれにでも起こりえる疾患といえます。

 

眼瞼下垂がもたらすさまざまな症状

 

 眼瞼下垂を放置すると、徐々に視野が狭くなり、視力が落ち、日常生活に不便が生じます。まぶたが下がってくると、知らず知らずのうちに、あごを上げて視界を得ようとする動きが起こります。さらに額の筋肉を過度に収縮させ、まゆ毛を上方へ引き上げることで目を開けるクセがついてくるため、額に深いしわが刻まれ、目とまゆ毛の距離が離れた、いわゆる老人様顔貌(老け顔)となっていきます。また、額の筋肉は頭頂部から後頭部、後頸部、肩へと続く筋肉と連動しているため、これらの筋肉の緊張が強くなることで、眼精疲労、頭痛、頸こり・肩こりといった症状が起こります。さらに、まぶたにある筋肉の中には、いくつかの神経受容体(周囲の変化を脳に伝えるセンサー)があり、腱膜が緩むことでこれらの神経刺激のバランスが崩れ、めまいや不眠、まぶたの痙攣などの随伴症状を起こすこともあります。

 

眼瞼下垂のセルフチェック

 

●まぶたが重く感じる。

●目が開けにくく、年齢とともに小さくなってきた。

●眠たそうな顔をしていると言われる。

●頭痛や肩こりがある。

●上まぶたのくぼみが出てきた。

●額に深いしわができた。

●夕方になると、目の奥や額に痛みを感じる。

 右記の内3項目以上に当てはまる方は、眼瞼下垂の疑いがあります。

 

眼瞼下垂の治療

 

 治療は、局所麻酔での手術が必要です。まぶたの皮膚のたるみやまぶたを挙げる筋肉の機能の程度・状態によって、垂れ下がった余分な皮膚と皮下組織などを切除する手術(眼瞼余剰皮膚切除)や、腱膜を本来あるべき正しい瞼板の位置に固定し直す手術(拳筋前転法)などを行います。術後はまぶたの腫れや、皮下出血などが生じるケースもあり、数日程度の入院治療をお勧めしています。

 眼瞼下垂の手術はまぶたの開けやすさや、十分な視野の獲得などの機能改善が目的となりますが、目の開き具合や二重まぶたの位置・左右対称性など、わずかな変化がその人の顔の印象を大きく変える場合があります。まぶたを開きすぎてしまうと、びっくりしたような顔(驚愕の表情)になったり、目つきがキツくなったりする方もいるため、手術に際しては機能面のみならず、整容面のバランスにも十分な配慮が必要となります。眼瞼下垂でお困りの方は、ぜひお近くの形成外科へご相談ください。

人気の投稿

このブログを検索