<パーソナリティ症とは?>
パーソナリティ症とは、「広い範囲の精神症状や多様な社会適応の困難さ、主観的苦痛を生じるもの」と定義されています。
パーソナリティ症については診断基準がいくつかあります。米国精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM|5)では、パーソナリティーを「環境および自分自身について、それらを知覚し、それらと関係を持ち、それらについて思考する持続的様式である。
広く社会的および個人的状況で示されるもの」とされています。また、パーソナリティー評価は「誰が」「どのような状況で」「どのような条件で観察したのか」によってかなり違ったものになることに留意しなければなりません。ある時点での主観的評価のみで判断されるものではないのです。<病気の分類と診断について>
パーソナリティ症は大きく3群(A〜C群)に分類されます。
A群は統合失調症に類似した側面を持つ群で、猜疑(さいぎ)性パーソナリティ症、シゾイドパーソナリティ症、統合失調症型パーソナリティ症があります。B群は感情的で芝居がかった側面を有する群で、反社会性パーソナリティ症、ボーダーラインパーソナリティ症、演技性パーソナリティ症、自己愛性パーソナリティ症があります。C群は不安や恐怖を抱きやすい群で、回避性パーソナリティ症、依存性パーソナリティ症、強迫性パーソナリティ症があります。
それぞれに詳細な診断基準がありますが、パーソナリティ症を病気と捉えるのか、性格の偏りと捉えるのかについては精神科医の中でも見解が分かれるところです。診断は横断的ではなく縦断的かつ注意深く行う必要があります。
世界保健機関(WHO)が作成した最新の診断基準(ICD|11)では、パーソナリティ症の診断が随分変わりました。具体的には、さまざまな状況において感情面、認知面、行動面での不適応が2年以上にわたって持続する場合、類型診断せずに全て一括してパーソナリティ症とすること。重症度を軽度、中等度、重度と判定すること。そして、必要に応じて5つの顕著なパーソナリティ特性(否定的感情、離隔、非社会性、脱抑制、制縛性およびボーダーラインパターン)の中から1つ以上を特定することになりました。これらは「次元(ディメンジョン)診断」と呼ばれるアプローチで、今後広く臨床場面で用いられていくことになるでしょう。