2022/01/20

ほくろ除去について

いしやま形成外科クリニック 石山 誠一郎 院長



医療法人 藻友会
いしやま形成外科クリニック
石山 誠一郎 院長
●日本形成外科学会認定形成外科専門医。北海道大学形成外科客員臨床講師。
医療法人 藻友会 いしやま形成外科クリニック
 札幌市中央区南15条西11丁目2-6
http://www.ishiyama-keisei.com/




コンプレックスにもなる徐々に大きくなるほくろ

 ほくろは、医学的には母斑(ぼはん)細胞性母斑あるいは色素性母斑という病名がある皮膚良性腫瘍です。黒いメラニン色素を産生する母斑細胞が増殖したもので、徐々に大きくなる特徴があります。特に顔の正中線付近(おでこ、鼻、あご)のほくろは、40代以降に大きく盛り上がるケースが多く、見た目のコンプレックスにつながることもあります。

 

ほくろの除去の治療法は[レーザー]と[切除縫合]

 

 ほくろ除去に際しては、大きさが直径2㎜以下で皮膚の比較的浅い場所にあるものであれば、炭酸ガスレーザーによる蒸散が適しています。専用機械による特殊な光を肌の表面に直接照射し、皮膚に含まれる水分を蒸散させ、それによりほくろの原因となる母斑細胞を焼き切る治療法です。ほくろが大きく盛り上がり、皮膚の深い場所にも存在している場合は、手術による切除縫合を行う必要があります。

 患者さんの中には「レーザー治療は傷あとが残りにくく、切って縫うのは傷あとが残りやすい」と思っている人がいるかもしれませんが、一概にそうとはいえません。小さいほくろであっても、ほくろのある場所によっては、レーザー治療よりも「くり抜き除去」という手技や「巾着縫合」といった特殊な縫い方を用いた方が傷あとを目立たないように治療ができ、再発のリスクも回避できる場合があります。形成外科医とよく相談しながら治療法を検討してもらいたいと思います。

 

命にかかわる危険なほくろに要注意

 

 ほくろが急に大きくなったり、色や形が変化したりする場合は、皮膚がんの可能性も考えられますので、放置せずに一度形成外科にご相談ください。通常ほくろは良性で、がん化しませんが、一見ほくろのようにみえるがんがあります。ごく小さな初期のものではほくろと見分けることが難しく、医師でも判断に迷う場合があり、注意が必要なほくろは組織を病理検査して診断します。

 ほくろ除去を希望される人は、創傷治療(けが、傷、傷あとの治し方)だけでなく、皮膚悪性腫瘍に精通した形成外科を受診することをお勧めします。

 

ほくろなど皮膚のできものは、まず形成外科に

 

 私たち形成外科医は「手術が必要な体表面の異常を、できる限り外見に気を配りつつ治療する」ことを専門にしています。機能的な面のみならず、整容面も十分に考慮しながら手術・治療を行います。

 ほくろの除去もそうですが、皮膚のできものや傷などをいかにきれいに、傷あとが目立たないように取ったり治したりできるかは、形成外科医の経験と技量の差が出やすい分野です。確かな知識と技術、きめ細やかな工夫が求められます。治療の相談をご希望の場合は、一つの目安として形成外科専門医が在籍する医療機関を選ぶのがいいと思います。

 ほくろの除去を希望する方は、治療の効果や各治療法のメリット・デメリット、費用などについて、ぜひお近くの形成外科へご相談ください。

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