2020/08/20

長引くせき、ぜんそくではありませんか?

大道内科・呼吸器科クリニック 北田 順也 副院長



医療法人社団 大空会
大道内科・呼吸器科クリニック
北田 順也 副院長
●日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
大道内科・呼吸器科クリニック
 札幌市中央区北3条西4丁目 日本生命札幌ビル3階
https://www.ohmichi.or.jp/




あなたのその長引くせき、ぜんそくではありませんか?

 季節の変わり目などにかぜをひいた際、せきに悩まされている方も多いと思います。そのなかで、かぜの諸症状は治ったのに、せきだけが長引いているという方はいらっしゃらないでしょうか。実は、そのせきの正体がぜんそくであることは珍しくありません。

 ぜんそくは、空気の通り道である気道に炎症が起きる病気です。呼吸をする時に〝ゼイゼイ〟〝ヒューヒュー〟などと音のする喘鳴(ぜんめい)が症状の特徴である「気管支ぜんそく」や、乾いたせきが続く「せきぜんそく」などがあります。

 気管支ぜんそくの患者さんの気道は過敏になっており、アレルゲン(ダニやハウスダストなど)やウイルス、タバコの煙や冷たい空気による刺激、そのほかに運動、飲酒、ストレス、疲労、女性の場合には月経や妊娠などを原因とし、それらに反応して気道が狭くなっています。気道が狭まると、せきが出たり息苦しくなったりします。

 

ぜんそくの治療は、ステロイド吸入薬が基本

 

 せきが続くのはかぜが長引いているせいだろうと考え、かぜ薬やせき止め、抗生物質を服用しても、ぜんそくによるせきにはほとんど効果がありません。

 ぜんそくの治療では吸入薬、内服薬を併用します。なかでも、吸入薬を主な治療薬として用い、炎症を起こし狭まってしまった気管支を正常の状態に近付くようにし、それを維持していくことが重要です。呼吸を楽にする「気管支拡張薬」を使うだけでは治療として不十分で、気道の炎症を抑える作用のある「吸入ステロイド薬」を適切に投与する必要があります。

 ステロイドというと「副作用が強い」というイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、ステロイド薬そのものは「副腎皮質ホルモン」というもともと人体にある物質を基礎にしてつくられた医薬品です。医師が症状に合わせて適切な量、強さのステロイド薬を処方しているのであれば、副作用を過剰に恐れる必要はありません。また、ぜんそく治療におけるステロイドの投与は、吸入という形で口から気管支(気道)に直接薬を届けるので、全身に作用する飲み薬や注射薬による投与に比べ、身体への負担は少なく、かつ高い効果が見込めます。

 

早期発見・治療が重要怖い病気が隠れていることも

 

 ぜんそくは早期発見・治療が重要です。3週間以上せきが長引く場合は専門医の受診をお勧めします。

 長引くせきの原因には、ほかにも肺がんや肺結核、副鼻腔炎に関連したせき、アトピー咳嗽(がいそう)、かぜやインフルエンザの感染後咳嗽、マイコプラズマやクラミジア、百日ぜき、逆流性食道炎など、実にさまざまなものがあります。

 このように、長引くせきの背後にはほかの病気、時には命にかかわるような怖い病気が隠れている可能性もあります。たかがせきと放っておかずに、呼吸器内科を受診し、血液検査やレントゲン検査、呼吸機能検査などの詳しい検査と、病気・症状に応じた適切な治療を受けてください。

人気の投稿

このブログを検索